アンモニアの化学式ってNH3ですよね?
その通りです
水酸化ナトリウムNaOHのように
OHが含まれてないのに、
なぜアルカリ性なんでしょうか?
アンモニア自身にOH基はありませんが、
水に溶けたときにOH–を発生するからです
本記事はアンモニアNH3に関する記事です。
本記事を理解すると、アンモニアの性質を抑えることができます。また、なぜアンモニアがアルカリ性を示すのか?について、理論的に答えることができるようになります。
物質のアルカリ性については、以下の記事でも解説していますので、興味のある方は参照してください。
アンモニアの特徴
アンモニアといえば、常温で気体で、鼻にツンとくるニオイが印象的です。
(青色: 窒素、白色: 水素)
アンモニアは分子量がおよそ17g/molで、空気よりも軽く、水に非常によく溶けます。ピンクの噴水実験をイメージされる人もいると思います。
【外部サイト】
NHK for School
アンモニアの噴水実験についてはこちら
アンモニアは実は人体に有毒です。体内のアンモニアは肝臓で無毒の尿素に変換され、それが腎臓で濾しとられ、最終的に尿として体外に排出されます。おしっこの原料は体内のアンモニアということですね。
また、アンモニアを原料として硝酸や硫安のような様々な化学製品を作ることができます。アンモニアは工業的に非常に重要な化合物の一つです。
【外部サイト】
日本肥料アンモニア協会HP
アンモニアを原料とした様々な化学製品についてはこちら
アルカリ性を示す物質の溶解反応
ここで、アルカリ性について考えてみましょう。アルカリ性とは、水溶液中の水酸化物イオンOH–が水素イオンH+よりも多い状態のことです。
アルカリ性を示す物質としては、水酸化ナトリウムNaOH、水酸化カリウムKOH、アンモニアNH3などがあります。
しかし、アンモニアの化学式はNH3でOH基が含まれていないのに、なぜOH–が発生するのでしょうか?
水酸化ナトリウム、水酸化カリウムの溶解
強いアルカリ性を示すことで知られるNaOHやKOHには、化学式にOHが含まれています。
それぞれの化合物が水に溶けたときは、
NaOH → Na+ + OH–
KOH → K+ + OH–
というように電離し、水酸化物イオンOH–を発生します。
そのため、水溶液中のOH–が増加し、水溶液はアルカリ性を示します。
アンモニアの溶解
アンモニアは常温で気体状態です。アルカリ性とは水溶液の性質ですので、アンモニアが水に溶解してできたアンモニア水がアルカリ性を示すということです。
アンモニアが水に溶けるときは、以下のように反応します。
NH3 + H2O ⇄ NH4+ + OH–
アンモニア自体はNaOHやKOHのように電離しませんが、水と反応することでアンモニウムイオンNH4+とOH–を生成します。
そのため、水溶液中のOH–が増加し、アンモニア水はアルカリ性を示します。
まとめ
ここまで、アンモニアの特徴とアンモニアを水に溶解した時の反応について書いてきました。以下、本記事のまとめです。
アンモニアはなぜアルカリ性を示すのか?
アンモニアが水に溶けるときは、
NH3 + H2O ⇄ NH4+ + OH–
という反応が進み、OH–を発生させるのでアンモニア水はアルカリ性を示す