酢酸のpHを計算できますか?平衡定数を用いた計算方法をわかりやすく解説

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科学

酢酸のpHの求め方がわかりません

酢酸の平衡定数が関与してきますので、
多少ややこしいかもしれません

完璧に理解したいのですが・・・

OKです
以下で丁寧に説明します

本記事には、以下の内容が書かれています。

酢酸のpH計算方法
酢酸の平衡反応式
酢酸の平衡定数の取り扱い

【補足】近似計算する場合としない場合で生じる誤差

本記事は以下のお悩みを持つ方にオススメです。

・酢酸が弱酸ってとこまではわかるけど…
・酢酸の反応ってどうなるの?
・酢酸の化学平衡がよくわからない…

本記事を理解して実践すると、酢酸のpH計算なんて余裕でできてしまいます。また、平衡反応の仕組みが理解できるので、酢酸以外の弱酸でも応用できます。

酢酸ナトリウム溶液や酢酸・酢酸ナトリウム混合溶液のpHの求め方については、以下の記事で詳しく解説しています。

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pH計算方法

酢酸に限らず、pHの求め方は以下の通りです。

  pH = -log[H3O+]  ( pH=-log[H+] )

ヒドロニウムイオンH3O+は、水素イオンH+が水和した形です。水溶液中では水素イオンH+はヒドロニウムイオンH3O+の形で存在していると考えられています。pHを計算する上では、どっちでもOKです。

 【外部サイト】
  Wikipedia
  ・ヒドロニウムイオンについてはこちら
  ・オキソニウムイオンについてはこちら

酢酸の平衡反応

酢酸の平衡反応式と平衡定数Kaは以下に示す通りです。

  酢酸の平衡反応式
$$\rm{CH_3COOH + H_2O ⇄ CH_3COO^- + H_3O^+}$$

  酢酸の平衡定数Ka
$$\rm{K_a = \frac{[H_3O^+][CH_3COO^-]}{[CH_3COOH]}}$$

酢酸の化学式はCH3COOHで、1価の弱酸です。つまり、大部分は酢酸分子CH3COOHで、ほんの少しだけ解離して、酢酸イオンCH3COOとヒドロニウムイオンH3O+になっています。

例題① 0.10mol/Lの酢酸溶液のpH計算方法

【例題】
0.10mol/Lの酢酸溶液のpHを有効数字2桁で求めよ。
ただし、酢酸の平衡定数 Ka = 1.8×10-5とする。

【解答】
CH3COOH + H2O ⇄ CH3COO + H3O+より、
Ka = [H3O+][CH3COO]/[CH3COOH]・・・①

求めたいのは pH =-log[H3O+]なので、[H3O+] = A とすると、
[CH3COO] ≅ A ・・・②
[CH3COOH] = 0.10 – A ・・・③

よって、①、②、③より、
Ka = A2/(0.10-A) = 1.8×10-5

ここで、Aは0.10と比較して非常に小さい値なので、
以下のような近似ができる

[CH3COOH] = 0.10-A ≅ 0.10

よって、
A2/0.10 = 1.8×10-5

両辺に0.10をかけて、
A2 = 1.8×10-6
A = 0.001341…
pH = -log A = 2.87… ≅ 2.9

例題② 0.010mol/Lの酢酸溶液のpH計算方法

【例題】
0.010mol/Lの酢酸溶液のpHを有効数字2桁で求めよ。
ただし、酢酸の平衡定数 Ka = 1.8×10-5とする。

【解答】
CH3COOH + H2O ⇄ CH3COO + H3O+より、
Ka = [H3O+][CH3COO]/[CH3COOH]・・・①

求めたいのは pH =-log[H3O+]なので、[H3O+] = A とすると、
[CH3COO] ≅ A ・・・②
[CH3COOH] = 0.010 – A ・・・③

よって、①、②、③より、
Ka = A2/(0.010-A) = 1.8×10-5

ここで、Aは0.010と比較して非常に小さい値なので、
以下のような近似ができる

[CH3COOH] = 0.010-A ≅ 0.010
よって、
A2/0.010 = 1.8×10-5

両辺に0.010をかけて、
A2 = 1.8×10-7
A = 0.0004242…
pH = -log A = 3.37… ≅ 3.4

補足「濃度の近似計算」

例題①、②における[CH3COOH]の近似について、酢酸溶液の濃度が大きいときは、近似しても真の濃度との誤差は小さいです一方で、酢酸溶液の濃度が小さくなると、真の濃度との誤差が大きくなります。正確なpHを求めるときには注意してください。近似しない場合は、直接二次方程式を解く必要があります。

例題① 0.10mol/Lの酢酸溶液のpH計算方法(近似なし)

途中式より、
Ka = A2/(0.10-A) = 1.8×10-5
A2=1.8×10-6-1.8×10-5A
A2+1.8×10-5A-1.8×10-6=0
これを解いて、A=0.001332…
pH = -log A = 2.87… ≅ 2.9

近似ありなしでの誤差は0.75%

例題② 0.010mol/Lの酢酸溶液のpH計算方法(近似なし)

途中式より、
Ka = A2/(0.010-A) = 1.8×10-5
A2=1.8×10-7-1.8×10-5A
A2+1.8×10-5A-1.8×10-7=0
これを解いて、A=0.0004153…
pH = -log A = 3.38… ≅ 3.4

近似ありなしでの誤差は2.1%

酢酸のpH計算方法のまとめ

ここまで、酢酸溶液のpH計算方法について、詳しく書いてきました。以下、本記事のまとめです。

本記事の内容:酢酸のpHを計算できますか?

pH計算方法
   pH = -log[H3O+] ( pH = -log[H+] )

酢酸の平衡反応
   CH3COOH + H2O ⇄ CH3COO + H3O+

酢酸の平衡定数
   Ka = [H3O+][CH3COO]/[CH3COOH]

 例題① 0.10mol/Lの酢酸溶液のpH計算方法
 例題② 0.010mol/Lの酢酸溶液のpH計算方法
 【考え方】
  [H3O+]の濃度をAとし、[CH3COO]と[CH3COOH]の濃度をAで表し、平衡定数Kaの式に代入

補足「濃度の近似計算」
  酢酸の濃度が小さいときは、近似すると誤差が大きくなるので注意

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