炭酸ナトリウムの化学式ってNa2CO3ですよね?
その通りです。
炭酸イオンCO32-とナトリウムイオンNa+から構成されています。
水酸化ナトリウムNaOHのようにOH基が含まれてないのに、
なぜアルカリ性なんでしょうか?
炭酸ナトリウム自身にOH基はありませんが、
水に溶けたときにOH–を発生するからです
本記事は炭酸ナトリウムNa2CO3の性質や用途に関する記事です。
本記事を理解すると、炭酸ナトリウムの性質を理解することができます。また、「なぜ炭酸ナトリウムがアルカリ性を示すのか?」について、理論的に答えることができるようになります。
炭酸ナトリウムの特徴
炭酸ナトリウムの化学式はNa2CO3で通常、白色の固体です。炭酸水素ナトリウムNaHCO3の加熱実験での生成物として有名です。
Na2CO3は式量がおよそ106g/molで、常温で水100mLに約22g溶解します。また、アンモニアソーダ法(別名: ソルベー法)で製造される物質として有名です。アンモニアソーダ法については以下の記事で詳しく解説していますので、興味のある方は参考にしてみてください。
Na2CO3はガラスの原料として使用されています。珪砂や石灰石などとともに強熱することでガラスを製造することができます。また、膨張剤やpH調整剤などの役割でラーメン、こんにゃく、餃子の皮などの食品にも含まれています。化学分析では、試料を分解する目的で行うアルカリ融解法で使用されます。
【外部サイト】
大東化学株式会社 HP
炭酸ナトリウムの用途についてはこちら
株式会社ユニケミー HP
アルカリ融解法についてはこちら
アルカリ性を示す物質の溶解反応
アルカリ性とは、水溶液中の水酸化物イオンOH–が水素イオンH+よりも多い状態のことです。
アルカリ性を示す物質としては、水酸化ナトリウムNaOH、水酸化カリウムKOH、アンモニアNH3、炭酸ナトリウムNa2CO3などがあります。しかし、アンモニアや炭酸ナトリウムの化学式にはOH基が含まれていないのに、なぜOH–が発生するのでしょうか?
アンモニアについては以下の記事で詳しく解説しておりますので、興味がある方は以下の記事を参照してください。
水酸化ナトリウム、水酸化カリウムの溶解
強いアルカリ性を示すことで知られるNaOHやKOHには、化学式にOHが含まれています。
それぞれの化合物が水に溶けたときは以下の式のように電離し、水酸化物イオンOH–を発生します。
NaOH → Na+ + OH–
KOH → K+ + OH–
そのため、水溶液中のOH–が増加し、水溶液はアルカリ性を示します。
炭酸ナトリウムの溶解
炭酸ナトリウムNa2CO3は常温で固体で、水に溶解したときの水溶液がアルカリ性を示します。アルカリ性とは水溶液の性質であることを理解しておく必要があります。
Na2CO3が水に溶けるときは以下の①式のように電離し、ナトリウムイオンNa+と炭酸イオンCO32-を生成します。また、②式のように、CO32-がH2Oと反応し、重炭酸イオンHCO3–とOH–を生成します。さらに、HCO3–がH2Oと反応し、炭酸H2CO3とOH–を生成します。
①Na2CO3 → 2Na+ + CO32-
②CO32- + H2O ⇄ HCO3– + OH–
③HCO3– + H2O ⇄ H2CO3 + OH–
以上のように、Na2CO3はNaOHやKOHのように自身からOH–を放出するのではなく、水と反応することでOH–を生成します。これにより、水溶液中のOH–が増加し、炭酸ナトリウム水溶液はアルカリ性を示します。
まとめ
ここまで、炭酸ナトリウムの特徴と炭酸ナトリウムを水に溶解した時の反応について書いてきました。以下、本記事のまとめです。
炭酸ナトリウムはなぜアルカリ性を示すのか?
炭酸ナトリウムが水に溶けるときは、
Na2CO3 → 2Na+ + CO32-
CO32- + H2O ⇄ HCO3– + OH–
HCO3– + H2O ⇄ H2CO3 + OH–
という反応が進み、OH–を発生するので炭酸ナトリウム溶液はアルカリ性を示す